白い狐を買った鮎貝の八卦置き
どんな伝承か
岩手県の遠野地方では、どこでも飯綱使いは近年になって入って来たもののように言っている。小友村鮎貝の某という者が、ある日遠野へ出る途すがら見知らぬ旅人と一緒になった。この旅人が道々いろいろのことをよく当てる。不思議に思って聞くと、袂から白い狐を出して見せ、これさえあれば居ながらにして何でも分かるといった。欲しくてたまらず幾らかの金を出して買い取り、飼い方も使い方も詳しく習うと、この男はよく当てる八卦置きになり、たちまち村でも指折りの金持になった。だが何年か後には次第に当たらなくなり、貧乏して往来でのたれ死したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年))
『日本の憑きもの――俗信は今も生きている』は、石塚尊俊が昭和三十四年に著した研究書である。狐・犬神・蛇などの動物霊が人に憑くという俗信と、それを操るとされる家筋について、全国の伝承と近世以来の文書を集めて論じる。出雲・隠岐・豊後・土佐では筋の家の割合や縁組の偏りを調べ、憑きもの落としの行法や家の神とのつながりまでを七章で追っている。