参れば雨になるという市野々の薬師
どんな伝承か
小国町市野々は旧越後街道沿いの宿場で栄えたところで、十三峠のうち桜峠と黒沢峠の間に位置し、今も昔の面影を残す建物が立っている。ここの向原、加藤芳次家の裏山に薬師さまがあり、金毘羅様や不動尊と一緒に祀られている。祭礼の四月八日には、行けば帰りには雨になると言われながらも、薬師さまに上れば願事叶うとも言われているので、附近の人々が大勢お参りに上るという。高い山の風習と習合したものであろうかと筆者は記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活)
『置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊』は、置賜地方の民間信仰を、奥村幸雄・武田正らが項目ごとに分担して書いた民俗誌である。人の一生や食物・病気の禁忌、天気占い・作占い・予兆とまじない、ワカ(巫女)、病を治す薬師・道祖神・地蔵、死霊と魂招び・死水の習俗を、古老からの聞き書きや薬の書付を交えて記す。「禁忌・卜占・予兆」「生活の中の神々」「死霊」などの部に分け、項の末尾に執筆者名を記す。