お加茂さまと粽を作らぬ氏子
どんな伝承か
太田にある加茂県主神社の氏子は、かつて端午の節句になっても粽をこしらえなかった。昔、この社の神が馬に乗って戦に出た折に落馬し、ススキの葉で目を突いてしまったので、神の嫌うススキで包む粽は作らないのだと伝わる。また、この社の祭りの日にはよく雨になるという。神は境内の地面が低くなるのを嫌い、雨で人出を減らして、参詣人の下駄の裏について運び去られる土を少なくしているのだと説明される。ただし、この話の社は県主神社ではなく若宮八幡宮だとする説もある。
原典より
大むかし、お加茂さまが馬に乗って、戦いに行かれたときに、馬から落ちてススキの葉で眼をお突きになった。—— 美濃加茂市史 民俗編――伝説(美濃加茂市(編)・美濃加茂市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
美濃加茂市史 民俗編――伝説(美濃加茂市(編)・美濃加茂市史)
『美濃加茂市史 民俗編――伝説』は、美濃加茂市の市史民俗編のうち、第一三章「俗信」と、第一四章「伝説 昔話 世間話」の総説および第二節「伝説」を収めたものである。天候・農事・人事にかかわることわざと俗信、民間療法、樹木の禁忌を挙げたうえで、伊深・蜂屋・太田・三和など市内各地区に伝わる三度栗、龍宮さまの淵、火塚、山男、かぶと淵などの伝説六十四話を記す。昔話・世間話の節は含まず、伝説の多くは題に伝承地区の名を添える。