下屋敷で生まれた落胤に与えた脇差
どんな伝承か
美濃加茂の牧野に、シモヤと呼ばれる場所がある。ここにはかつて、兼山城主の森武蔵守の下屋敷が構えられていたと伝えられる。あるとき側室とのあいだに子が生まれると、武蔵守はこの刀を遣わすと言って一本の脇差しを与えた。落胤の証として渡されたその刀は、森八十八家に長く伝わっていたが、戦争のさなかに失われてしまったという。いまその家に残っているのは、槍の穂先だけだと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
美濃加茂市史 民俗編――伝説(美濃加茂市(編)・美濃加茂市史)
『美濃加茂市史 民俗編――伝説』は、美濃加茂市の市史民俗編のうち、第一三章「俗信」と、第一四章「伝説 昔話 世間話」の総説および第二節「伝説」を収めたものである。天候・農事・人事にかかわることわざと俗信、民間療法、樹木の禁忌を挙げたうえで、伊深・蜂屋・太田・三和など市内各地区に伝わる三度栗、龍宮さまの淵、火塚、山男、かぶと淵などの伝説六十四話を記す。昔話・世間話の節は含まず、伝説の多くは題に伝承地区の名を添える。