牲の美女を求める高札
どんな伝承か
弘安四年の春、牲の当番は郡司義実に回った。供えるべきは新山権現の加護で授かった当年十四歳の玉与の姫であり、義実は神明の分身を牲にはできぬと考え、金銭で美女を求めようと所々方々に高札を立てた。だが百日余りたっても応じる者はない。思いあまって新山権現の神前に伺うと、遠州小夜の中山に姉妹二人の美女がいるからその一人を求めよとの告げがあった。義実は大鹿長者愛宕の庄司の取り持ちを頼むこととし、使者に大麻生左衛門四郎を立てて遠州へ遣わしたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。