神木の松を伐った人夫を斃した大蛇
どんな伝承か
水路の掘削で部落の幸の神が移されることになり、神木の老松も伐り倒されると決まった。部落の物知り要右衛門は、命をかけて神を守ると言って社前に額づき、当日は白無垢を身につけて老松を背に両手を広げ、祟りがあるぞと人夫を一喝した。人夫たちは老人を担ぎ出して松を伐り倒したが、切り口の洞から大蛇が現れて人夫たちを睨みまわすと、彼らは悲鳴を上げて倒れ、再び息を吹き返さなかった。工事は中止され、再開されたときは社から遠く隔てられていた。部落では稚松を植え、四月三日に馬を飾って祭を奉納するようになったが、昭和七、八年以降は行われなくなった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。