娘を狂わせた白蛇と神狐の退治
どんな伝承か
止々井沼をめぐる新里、都鳥、上幅の村々に不思議な病が流行した。かかるのはほとんどが十六、七歳の娘で、最初はぼんやりしているが数日すると外へ飛び出して駆け回り、ひどくなると狂ったように踊り狂い、ついには止々井沼に飛び込んで死んだ。しかも死骸は決して上がらなかった。数か月後、病になる娘の家には必ず白蛇が現れると調べ上げた者があった。白蛇は屋根から庭先を回り、最後にじっと娘を見つめてから沼の方へ走り去るという。村人は京都から修験者の黒硬坊を招き、黒硬坊は胆沢中の稲荷に願をかけて神狐を呼び、白蛇を村から追い出した。神狐は帰らず、沼のほとりの高山に祠を建ててもらって高山太郎と呼ばれ神と祀られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。