灰の縄を綯った知恵と作神の岩
どんな伝承か
サワは美しく気だてもよい働き者で縁談が絶えなかったが、隣に住むシゲクラを慕ってすべて断り、やがてシゲクラを夫に迎えた。面白くない近所の若者たちは、一日に薪を千束とれ、石のきざはしを百段つくれ、百八ののぞき石垣をつくれ、千尋の灰の縄をなえと難題を突きつけた。サワは猿に薪を切らせ、遠い国から人足を連れて石段を築き、道具を工夫して石垣もやり直させた。灰の縄には困り果てたが、千尋の縄をなって唐金の箱に入れ、薪を積んで火を放ち蒸し焼きにして作り上げた。二人は村を去り、若柳の土橋で力尽きたサワを葬り、シゲクラは後に胆沢川岸の白岩へ改葬し、自らは猿岩に住んで作神さまとなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説(胆沢町(編)・胆沢町史)
『胆沢町史 11(民俗編4)――口承・伝説』は、胆沢町の町史民俗編の一冊のうち、第四章「口承・伝説」を収めたものである。第一節は松浦佐用姫と高山掃部長者の伝説を扱い、胆沢・水沢周辺の伝説地を列挙したうえで、町内に伝わる佐夜姫の本地物の写本や『南部叢書』所載の「奥州胆沢高山実伝」を翻刻する。第二節「いさわの昔話」は大蛇・狐・むじな・飢饉・戦後の怪異などの話を番号順に並べ、第三節「いろいろな昔話」へと続く。