井戸で大蛇となった嫁と簸川
どんな伝承か
八千代町上根での話である。大昔のある冬の寒い日、ある家の嫁が井戸へ水を汲みに行き、頭にさしていた櫛を井戸に落とした。婿に、大切な櫛だから拾ってくれと頼んだが、取ってもらえないので自分で井戸に降りて拾った。ところがしばらくして井戸から出て来たのは、櫛をくわえ口から火を吐いている大蛇の姿だったという。その大蛇が下って行った跡が川になり、それが今の簸川だと伝えている。
原典より
大昔のある冬の寒い日にある家のお嫁さんが井戸に水を汲みに行き、頭にさしていた櫛が井戸におちた、…—— 高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高田郡史 民俗編――伝説(高田郡(編)・高田郡史)
『高田郡史 民俗編――伝説』は、広島県高田郡の郡史の民俗編のうち、伝説の部である。吉田町・美土里町・甲田町・八千代町・高宮町・白木町などに伝わる八岐大蛇退治、毛利元就の百万一心、弘法大師のいろは石、つきものを落とすというはりいぶきの枯木などの話を、土地ごとに取り上げる。多くの話に、かつて村々から提出された「国郡志下調書出帳」の該当記事を原文のまま並べ、古い記録と今の語りとを照らし合わせている。