火あぶり寸前の少年を救った茶縞の老人
どんな伝承か
十一歳のころ、喜三郎は学校の仲間十人ほどと近くの山で火遊びをし、自分のつけた火が燃え広がって山火事になった。村じゅうが大騒ぎになり、駐在の巡査まで駆けつけた。怒った父は、火を放ったからには火あぶりにすると言い、喜三郎を庭のカキの木に縛りつけた。本当に焼かれると震えていると、かつて囲炉裏から救ってくれたあの茶縞の着物の老人が現れ、縄を解いて小幡神社の床下にかくまってくれた。姿の消えた喜三郎を近所総出で捜しているところへ本人が戻って一部始終を話すと、人々は亡き祖父が助けたのだと言い合ったという。
原典より
父のけんまくに、ほんとうに火あぶりにされると恐怖のどん底でおびえていた喜三郎のところへ、例の茶縞の着物を着た老人が現われ、縄をほどいて小幡神社の床下に隠してくれた。—— 出口王仁三郎(村上重良・村上重良・近代民衆宗教史・1973年(昭和48年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
出口王仁三郎(村上重良・村上重良・近代民衆宗教史・1973年(昭和48年))
『出口王仁三郎』は、村上重良が昭和四十八年に著した大本教の指導者出口王仁三郎の評伝である。丹波穴太村の小作農の家に生まれた上田喜三郎の生い立ちと修行から、出口直との出会いと大本教の拡大、大正維新と不敬事件、『霊界物語』の口述や入蒙、昭和神聖会と大弾圧、法廷での闘い、晩年までをたどる。「故山の夢」「道の大本」「人類愛善」の三章に分けて叙述し、巻末に略年譜と参考文献を付す。