手首を掴まれた小人の別れ
どんな伝承か
天塩川筋に伝わる話。シャモの来ないころ、コルポックンと呼ばれる小さな人が、時おり珍しい物を届けてくれたという。夜明け前にそっと来て、戸の隙間から手だけを差し入れて置いていくので、誰もその姿を見た者はなかった。コタンの長老たちは姿を見れば罰が当たると戒めていたが、ある若者が一目見ようと夜通し戸の陰で待った。明け方、小さな手が宝物を差し出したところをつかんで引きずり込むと、裸の愛らしい小人だった。小人は姿を見られたからもうコタンには来ないと言い残し、草の葉の陰へ去った。以後シャモが入り、コタンは衰えていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。