乳房の瘤をもつ稲荷神社の桧
どんな伝承か
所在地は稲荷神社の境内、樹種は桧である。目通りの周囲は二十一尺七寸、樹高はおよそ八十尺、樹齢は二百七十年と推定される。樹体は奇形で、根際から五尺ほどの高さまで一面を瘤が取り巻き、その様子が乳房に似ているので乳房の瘤と呼ばれる。幹はまっすぐで枝下は約五丈、枝は四方に張って先が垂れ地面を覆う。社の創立は明らかでないが、明暦二年に村中が再建した折、神木として植えられたものと伝わる。古くから乳の足りない婦人が祈願すれば御利益が著しいとされ、近郷から参詣する者が多い。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。