福寿草になったクナウ姫とカルンバ
どんな伝承か
大昔、大酋長の娘にクナウという美しい姫がおり、人々からコタンの女神と慕われていた。姫は幼なじみの若者カルンバと結ばれる日を待っていたが、熊送りの酒宴で酔った父が、世で一番腕の強い者を婿に迎えると口走ってしまう。腕くらべでカルンバは誰にも負けなかったが、敗れた若者たちが連れてきた乱暴者の土竜の神には勝てなかった。長老たちは姫を哀れみ、夜のうちに二人を山奥へ逃がす。二人は雪の解けた崖の枯草の下に穴を掘り、首だけ出して隠れたが、天に昇って見下ろした土竜の神に見つかり、そこから動くなと唾を吐きかけられた。たちまち二人の頭は割れて黄色い花になった。アイヌはこの花をクナウノンノ、和人は福寿草と呼ぶ。
原典より
むかし、クナウという美しいお姫さまがいた。—— 日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第1巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第1巻』は、叢書『日本伝説大系』のうち北海道と青森県の伝説を収めた巻である。人間の始めやコロポックル、アイヌの神謡、岩木山一代記、おしら祭文、義経や弘法大師の事跡、狐や大蛇の話、地名や神社の由来などを、口承の資料を中心に採る。伝承地を記した例話を冒頭に置き、〔類話〕〔文献〕〔参考〕の欄で各地の類話の梗概と近世以後の文献の原文を添える編み方をとる。