山刀を差した万太幾の翁の悔い
どんな伝承か
湯瀬で、山人にまじって山刀を腰に差した翁に会った。万太幾、すなわち狩人の名だという。翁が語るには、自分は若い頃、国々を駆け歩き、ずほう山と称して黄金が出ると言い立てては山という山を掘り崩し、人の金を巻き上げて気楽に暮らす盗人まがいの者であった。その報いか、今はこんな夜寒の頃でさえ垢じみた布の帷子に粗末な物を食い、猪や猿を撃ってはかない世を渡っていると悔いる。この報いが末の子まで及ばねばよいがと言い、煙草の火を吹き捨てて去っていった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第2巻』所収の「文化叙事伝説」64話(岩手・宮城・秋田)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。