小友の金山で崩れた黄金の牛
どんな伝承か
小友では山に横坑を掘り、金の混じった鉱石を掘り出して砕き、沢の水をかけて金を採っていた。あるとき、金掘りの飯場に、オソトギというわらしが働いていた。のろまではあるが観音を拝む感心な子で、たった一人の母に不自由をさせぬよう飯場の炊事をしていた。ある日、坑の中で牛の形をした大きな金の塊が見つかり、大人たちは前祝いの酒盛りをして、角にあたる所へ錦の手綱をつけて引き出そうとしたが動かない。外にいたオソトギも呼ばれて手綱を握ると、外から名を呼ぶ大声がした。出てみると誰もいない。二度目にもっとすさまじく呼ばれて飛び出したとたん、恐ろしい音を立てて坑が崩れ、中の者は皆死んだ。オソトギだけが助かったという。
原典より
<柳田―「斧沼」>昔の事だども、小友で山さ横坑を掘って、キラキラする金のまざっている鉱石掘り出して、その石砕いで、沢の水ぶっかけるど、金はおぶでえもんだがら手前に落って、ほがの石は遠くに飛ばされでしまう。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。