餅で正体を現した花婿の鱈
どんな伝承か
五駄鱈がそう呼ばれる以前のこと、漁村に住む漁師の一人娘に大変な美人がいた。村の青年たちがしきりに言い寄ったが、誰も娘の心を動かせなかった。あるとき一人の美青年が村に来て、たちまち娘と睦まじく語らう仲になる。両親は身元の知れぬ相手を快く思わなかったが、娘が身籠もったと聞いて結婚を認めた。婚礼は土地の風習で餅づくしであり、花婿は喜んで幾杯も詰め込んだ。宴のあと花婿は七転八倒し、医者が駆けつけると姿はなく、畳の上に大きな鱈が一尾死んでいた。切って馬に乗せると五回の往復を要したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。