小豆汁で正体を現した大鱈
どんな伝承か
漁師村に、おみつという美しい一人娘がいた。誰にもなびかなかった娘がいつからか元気をなくしたので、母が隣の婆に訳を聞かせた。娘は毎晩通ってくる男があるが、身体が冷たくて一向に温まらないと打ち明ける。婆の教えどおり小豆の煮汁で男の足を洗ってやると、男はその晩に具合が悪いと言って帰った。翌朝、浜には化け物のような大きな鱈が死んでおり、切り分けると馬で五駄分もあった。それでそこを五駄鱈村と呼ぶようになった。おみつは急に腹が痛み、盥いっぱいに鱈の子を産んで死んだという。
原典より
昔ね、ある漁師村に「おみつ、おみつ」て呼ばれでる、とってもきれいな娘いだそうだね。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。