明神渕で馬喰に組み伏せられた河童
どんな伝承か
昔、盛岡の青物町、今の仙北町に、相撲取り上がりの七つ滝という馬喰がいた。ある夏の夕方、馬を引いて北上川の明神渕で冷やしていると、その馬がずるずると川へ引き込まれていく。かねて聞いていた河童の仕業に違いないと水にもぐってみると、案の定、河童が馬の脚を引っ張っていた。腕に覚えのある馬喰は河童を岸へ引き上げ、相撲好きの河童とくんずほぐれつの大立ち回りになった。数刻の末についに組み伏せられた河童は、二度と悪さはしないから許してほしい、ただ年に一度祭りをして何か食べさせてほしいと詫びた。七つ滝が許してやってから明神渕の河童祭りが始まり、この渕から御舟小屋のあたりでは河童に引かれる者がいなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。