切れば祟る千尋峠の山の神の梨
どんな伝承か
昔、由利郡と河辺郡の郡境になっている所に、千尋という小さな峠があった。その峠の中腹に、百年以上もたつ梨の木が一本立っていた。この梨の木は山の神の神木とされ、これを切れば必ず祟りがあるといわれていた。ところがある日、一人の村人が梨の木を切ってしまい、数日のうちに死んでしまった。それからは村人たちも恐れて手をかけなくなった。ところが大正の末頃、この山の持ち主である鈴木弥四郎という人がこの話を聞き、俺が確かめてみるといって、止めるのも聞かず鋸で梨の木を切った。すると急に身体の具合が悪くなり、その年のうちに死んでしまった。今の梨の木は三代目という。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。