羽衣を取り戻した天女と八重姫
どんな伝承か
六百年ほど前、太田の別所の館に三浦左近国清という豪族がいた。四十を過ぎても妻に恵まれず、馬場の滝不動に籠って水垢離をとり祈願した。九十九日目の丑満に不動明王が枕元に現れ、西方の五台山の山麓の池に三年に一度天女が降りて水浴びをする、明日がその日だから衣を一枚隠して妻とせよと告げた。国清はそのとおりに羽衣を隠し、昇天できなくなった天女を館に連れ帰って妻とし、二男一女をもうけた。八重姫が八歳になった年の七夕、庭に広げた重宝の中から羽衣が現れ、天女はそれを肩に掛けたとたん天に舞い上がった。母を追った八重姫は沼に落ちて死に、その地を八重草と呼ぶようになり、沼のほとりに葬られた姫の側の松を姫松という。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。