胡麻粒に変えられた手長足長
どんな伝承か
昔、磐梯山に手長足長という怪物が棲んでいて、夜ごとに長い手足を伸ばしては、湖を隔てた湖南の民家や田畑を荒らし、五穀をかすめ取って人々を苦しめていた。これが巡錫中の弘法大師の耳に入り、大師は磐梯山に登って悪魔調伏の秘法を修し、怪物と問答をした。身体は大きいが小さくはなれまいと言うと、そんなことはないと言い返して人間ほどの大きさになって見せる。大師はすかさず、胡麻になれ、喝と叫んで手にした数珠を打ち下ろした。怪物はたちまち法力に屈して胡麻粒と化した。大師はこれを印籠に納め、悪霊の祟りがないように護摩壇を設けて修祓し、これを手始めに湖南の布教に乗り出したので、人々は安らかに暮らすことができたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第3巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全65話(山形・福島・新潟)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。