炭焼きの家に来た雪の精の女房
どんな伝承か
白鷹町に伝わる雪女房の話。山奥で炭を焼いて暮らす若者のもとへ、ある冬の晩、美しい女が道に迷ったと言って宿を求めてきた。若者は泊めてやり、女は仕事を手伝ううちにいつしか夫婦となり、子も生まれた。女は雪の精であったものか、寒さをまるで苦にせず、若者が呼んでもなかなか火のそばへ寄らなかった。吹雪の荒れた晩を三人で越し、正月が近づいたころ、女房は外へ出たいと言い出し、止めるのも聞かず雪のなかへ一人で出て行った。ほどなく妙な音がして若者が外を見ると、雪崩の跡に着物の裾らしいものが見えたが、行ってみると何もなかった。雪の精が子を授けてくれたのだといい、残された親子はのちに里へ下りて楽に暮らしたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。