父が飲めば酒になる滝沢峠の強清水
どんな伝承か
若松から滝沢峠を越えて猪苗代へ行く途中に強清水がある。昔、この地方が大飢饉に見舞われ、五月から八月まで一滴の雨も降らなかった。小高木村の北、大久保山のふもとに木こりの父子が住んでいた。父の与曽一は実直な働き者だったが、息子の与曽二は酒と勝負事に明け暮れ、野武士の仲間に入っておいはぎまでしていた。父が山から帰るたび酔っているのであとをつけると、滝沢峠の岩間から湧く清水を飲んでいる。与曽二も飲んでみたが、それはただの清水でしかなかった。その夜、白蛇の冠をかぶった弁財天が夢に現れ、罪を悔い改めよと諭す。目覚めた与曽二は父に詫び、孝養を尽くし、岩清水のかたわらに弁財天を祀って堂守となったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。