つがいの首を抱いた鴛鴦と円応寺
どんな伝承か
小高町小谷の豊池山円応寺に、次のような言い伝えがある。昔、相馬重胤公が総州からこの地に移ってきたころ、寺の前の田の中に沼があった。ある冬の日、一人の猟師が雌雄の鴛鴦が泳いでいるのを見て、一羽の首を撃ち落とした。もう一羽は急いで飛び去った。明くる年の冬、猟師がまたこの沼に来ると残った一羽が泳いでいたので、それも撃ち殺した。よく見ると、その翼には前の年に死んだ相手の首がしっかりと挟まれていた。猟師は鴛鴦の情の深さに驚嘆し、二羽の首を沼のほとりに埋めて庵を作り、鴛鴦庵と呼んだ。のちに高胤公がこれに感激して寺を建て、豊池山鴛鴦寺と呼んだが、たびたび火災にあったので円応寺と改めたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。