手野に討たれた荒くれ熊たか
どんな伝承か
手野の里は平井播磨守の頃、頼光の時代のことだという。城の山にこもった賊徒に、揖保郡内の険しい地に住む熊たかという荒くれ者がいた。従類は二百九十人、その中にはまむし、大蜘蛛、さす神、鉢かつぎといった者がいたという。熊たかは総身が毛におおわれ鳶の目をし、女房の足ずりは二十二歳で背丈六尺九寸、十人力の太刀遣いと呼ばれた。官物を奪って朝廷に聞こえ、捕らえられてこの地まで連れて来られたが、隠身の術で宙を飛び、口から火や水を吹いて警固の武士八十人の目をくらませた。笠寺の験僧清光が呪を結んで祈ると飛行はやみ、ここで首を打たれた。手を切り捨てた所を手野と呼ぶという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。