日高川を渡った大蛇と道成寺の鐘
どんな伝承か
熊野の那智へ毎年参る旅僧が、日高の宿で娘を見て、大きくなったら嫁にもらうと言った。年を経て再び泊まった夜、僧は娘の髪が行燈にきりきりと巻きつくのを見て驚き、翌朝早くに逃げ出した。日高川の渡しでは、後から来る娘には知らぬと答えてくれと船頭に頼み、道成寺へ駆け込んで鐘を下ろしてもらい中に隠れた。追ってきた清姫は渡しを断られると、裸になって着物を頭に結び、大蛇となって川を渡った。寺で鐘の下からわらじの緒が覗くのを見つけ、七巻き半して尾で叩くと鐘は湯となり、二人は死んだ。以来わらじは緒の端を切って履くという。
原典より
〔類話〕昔、旅僧があって年々熊野の那智いさんに参りました。—— 日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。