半田へ帰ると夜泣きした薬師像
どんな伝承か
豊中市服部寿町に伝わる話。役行者小角が箕面山で護摩を焚いていると、煙が南へ長く流れて一か所にたなびいた。行者がその場所を訪ねると穂積の地であったので、ここを霊地と見定め、村の南のあし原で二十一日をかけて薬師の像を刻んだ。村人は堂を建てて祀ったが、のちに堂が焼けたため近くの常楽寺へ移した。ある時この像が盗まれて伊予へ運ばれると、像は毎晩「半田へいのう」と夜泣きした。困った者が半田という地を探すと、それは穂積村の古い名であったので、像はこの地へ送り返された。今も常楽寺に安置され、送り状も寺に残るという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。