目玉を残して去った蛇の妻
どんな伝承か
妻を亡くして間もない炭焼きの男が、炭がまに火を入れると中から小さな蛇が出てきたので、断りを言って逃がしてやった。その夜、旅の女が宿を乞うたので泊めると女は居つき、やがて子が生まれることになる。産のあいだは決して見るなと言われたが、うめき声に堪えかねてのぞくと、蛇が子を産んでいた。約束を破られた女は目玉をひとつ残して去り、男はそれを子になめさせて育て、二つ目の目玉ももらった。年老いた父が死に際に母のことを語り、もう一度会いたいと望んだので、子は父を背負って山へ行き、盲となった母に会わせたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。