たたらの番子を襲った猫山の化け猫
どんな伝承か
東城町小奴可の板井谷は猫山のふもとにあり、むかし大きなたたらがあって、砂鉄や木炭を運んでさかんに鉄をつくっていた。ある冬の晩、番子がふいごを踏む交替で外に出て猫山に向かって小便をしていると、山の方から『やあ、大きなてれつくじゃのう』と声がした。ひごろ大胆な番子は『小もうはないのう。なんと、ほおばらしょうか』といい返した。すると大きな光るものが猫山から飛び立って近づいてくる。化け猫だと気づいた番子はたたらに駆け込み、金屋子さんの下にかくれた。化け猫は屋根の上から『にゃごう』とうなりながら黒い手を入れてかきまぜたが、金屋子がかくしたといって、火の粉をふるいおとして帰っていったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。