鳥越峠で猫に見つからなかった宮司
どんな伝承か
猫山には三歳ほどの猫がいて、峠を通るたびに現れ、行き来する人を取って食ったという。熊野神社の宮司が大屋の一の宮の祭礼に出て帰る途中、日が暮れたので鳥越峠で休んでいると、大きな猫が二匹出てきた。宮司は恐ろしさにじっと寝そべっていた。猫たちは、ここに食べ物があったはずだが見当たらないと探し回り、やがて食う物はないと言って帰っていった。命拾いをした宮司が尺田へ下りて神社に戻ると、御簾が下りていた。神が助けてくださった、この御簾が下りたので猫に自分の姿が見えなかったのだと思ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。