潮の引いた岩で蛸に引かれた婆さあ
どんな伝承か
因島市重井町の馬山岬の海に、潮が引くと現れる岩がある。ある節句潮の日、貝掘りに出た婆さんがこの岩で眠っている大蛸を見つけ、足を一本切って帰った。翌日からも毎日一本ずつ取って帰ったが、八日目には蛸の姿が見えないので穴の中へ手を突っ込むと、身体ごと引っぱり込まれてしまった。馬山岬にいた人たちが悲鳴を聞いて駆けつけたときには、潮が満ちてどうにもならなかった。以後、村人はこの岩をばあさあ岩と呼んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。