水底の宮殿へ帰った赤松某の娘
どんな伝承か
昔、大山の麓の赤松村に赤松某という者が住んでいた。子のないのを嘆いて赤松の池に祈ったところ、一人の女の子を授かる。少女が十八歳になった秋、願開きに池を訪れると、池の中から自分を招かれるように感じて目を離さない。父母が気を確かに持てと池の水を飲ませると、少女は泣き出し、この水を飲んだら水底まで見透せる、あそこに見えるのが本当の私の家だと言い、養育の礼を述べて池へ入ってしまった。やがて小さな蛇が水際を通り、水底には美しい宮殿が並んでわが子の姿が見えたが、蛇が再び通ると宮殿は消え、湖水は静かに澄んでいたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。