この城は妾が城と告げた美女
どんな伝承か
寛文十六年、直政公が初めて松江へ入り、本丸を検分した。天狗の間に足を踏み入れると一人の美女が現れ、この城は自分の城であると言い放った。公が、このしろが欲しいのなら漁師に申しつけて海から引き揚げさせようと応じると、女は煙のように消え失せたという。それより公は鰶を本丸の荒神櫓へ納めることを例とし、この櫓はこのしろ櫓と呼ばれるようになった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。