油石も効かぬ橋杭と源助の鬼火
どんな伝承か
慶長の頃、出雲の大守となった堀尾吉晴は大橋川に橋を架けようとしたが、橋杭をいくら打ち込んでも安定しない。たくさんの油石を投げ込んでも無駄で、昼間の作業は翌朝には流されていた。橋杭が立たぬのは水神の怒りだとして、ある朝、仮橋を初めて渡る者のうち横継ぎをした袴の男を人柱にすると決まる。マチのない行燈袴とも、袴の腰板を曲げていた男ともいうが、いずれにせよ足軽の源助が捕らえられ、大橋のほぼ中央の杭の下に生き埋めにされて難工事は完成した。月のない夜更けには柱の付近から赤い鬼火が飛んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。