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堤防を築いた大猿と簪の計略

所在地徳島県美馬市美馬町鍵掛(猿ヶ渕)
年代伝承(口承)
登場大猿・末娘
出典日本伝説大系 第12巻

どんな伝承か

美馬郡美馬町に伝わる。鍋倉谷は毎年のように水害を起こし、鍵掛あたりの農民は堤防を築きたくても費用と労力がなく困っていた。この付近に住む年を経た大猿に、ある百姓が何気なく、堤防を築いてくれたら娘をやると言った。大猿は後日、多くの猿を指図して石を運び、堤防を完成させた。晩秋の満月の夜、猿が現れて約束の履行を迫る。三人の娘のうち末娘が嫁ぐことになり、支度として簪と大きな水瓶と古綿を求めた。古綿を詰めた瓶を背負った猿と娘が鍋倉谷の奥の渕に来たとき、娘はわざと簪を渕に投げ込み、早く拾ってと急かした。猿が瓶を背負ったまま飛び込むと瓶に水が満ち、猿は沈んだ。以来この渕を猿が渕と呼ぶという。

原典より

毎年のようにおこる鍋倉谷の水害に鍵掛付近の農民は、ほとほと困りぬいていた。—— 日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))

『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。

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