鳶を射落とした大戸村の旗本
どんな伝承か
埼玉県与野市に伝わる。ある日、徳川家康が家来を連れて狩りに出た。昼食のころ、鳶が一羽飛んで来て家康の頭上に大きな輪を描きはじめた。これを見た家康が、あの鳶を射てみよと命じたが、名乗り出る者は誰もいない。そのうち、与野領大戸村を領する旗本の牧野佐左衛門が御前へ進み出た。家来たちが見守るなか、佐左衛門の放った矢は見事に命中した。家康はその手柄を讃え、褒美として小村田七十石を与えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。