権現様を逃がした三崎の丸木舟
どんな伝承か
昔、権現様が真田幸村に追われて島根にさしかかったとき、西の大風で真田の船が追いつきそうになった。尼ヶ崎と遊ヶ崎の間でボラを突いていた丸木舟の漁師に助けを求めると、漁師は権現様の船を澪へ通し、真田の船は藻の中へ導いた。真田の船は藻が櫓にからんで進まず、その間に権現様の船は松輪の鼻を回って逃げのびた。この功により、三崎の六十三艘の丸木舟は、東は千駄のハナから西は大崩までの海をもらったという。由来を記した「権現様丸木舟由来記」というものがあったが、火災で焼けてしまったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。