鬼女を石に変えた祐慶と黒塚
どんな伝承か
大宮に伝わる黒塚の鬼女には、こんな話も語り継がれている。ある日、鬼女は若く美しい旅人を泊め、酒肴でもてなした。留守のあいだ押入れを開けてはならぬと言い置いて出かけたが、旅人が戸を引くと中には人骨が累々と積み上がっていた。気を失った旅人を、他所から戻った鬼女の娘が介抱して逃がす。話を聞いた東光坊阿闍梨祐慶がこの地へ来て庵を結び、二十一日のあいだ呪文を修して折伏したので、鬼女はついに石と化した。その化石を埋めた塚が黒塚、庵が東光坊で、のちの東光寺だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第5巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第5巻』は、叢書「日本伝説大系」の一巻をなす伝説資料集である。埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の伝説を扱い、二つの太陽、蹴裂明神、ダイダラボッチ、平将門、源頼朝、豪徳寺の招き猫、黒塚、山の背競べ、親捨てなどの話ごとに、口承を重んじて選んだ例話を掲げる。各項は例話に〔類話〕〔文献〕〔参考〕を添え、類話は伝承地ごとに梗概で示し、文献は近世以後の史料を原文で抄出し、柳田・高木の分類による話型名を併記する。