洗うと嵐を呼ぶ妙勝寺の欄間の竜
どんな伝承か
西加茂郡高橋村の上野山にある法珍山妙勝寺は、蓮如上人が開いたと伝わる名刹で、もとは不動山明勝寺と称した。本堂の欄間には二匹の大きな竜が彫られ、見つめていると髭や鱗が動き出しそうな迫力がある。あるとき彫物の汚れがひどくなったので、住職と檀徒が集まって欄間から外し、洗い始めた。すると空の一角に黒雲がぽつんと浮かび、みるみる広がって激しい暴風雨となり、数日間降り続いた。堤防は切れ、田畑は流され、死人まで出た。これは竜の祟りに違いないと、その後は誰もこの竜に手を触れなくなったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
愛知県伝説集(福田祥男・1961年(昭和36年))
『愛知県伝説集』は、福田祥男が昭和三十六年に著した愛知県の伝説集である。尾張・三河の山や海、淵や池、地蔵と観音、石や塚、城跡、地名、動物と変化、植物、祟りと怨霊などにまつわる言い伝えを、原型に忠実に再現することをめざして平易な文で語り直し、話の末に郡市名を添える。山の伝説から其の他の伝説まで十五の部に分け、あとがきでは前年に出した『愛知県伝説集・虹と黒潮』を全面的に改稿し増補したと記す。