太陽を呼び戻して石になった強欲な老夫婦
どんな伝承か
武甲山のふもと、赤穂木から根古谷の集落へ抜ける道の途中、中前田の田んぼの中に、老夫婦が横たわったような形の石がある。昔この地に働き者ではあるが欲深くひねくれた爺と婆が住み、村人に嫌われていた。夏の草取りの合間につい眠り込み、目覚めると日が西の山に沈みかけていたので、二人は太陽をののしり、草を取り終えるまで戻ってこいとわめいた。すると沈みかけた日がたちまち空の真ん中へ戻り、二人は焼け焦げてそのまま石に変わったという。以来この石はジジイ・ババア石と呼ばれ、尾田蒔のババア石にも同じ話が伝わる。
原典より
秩父の街を東に向って歩いて行くと、やがて右側にくっきりと大きな山が迫まってきます。—— 秩父の伝説と方言 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
秩父の伝説と方言
『秩父の伝説と方言』は、秩父市教育長鶴沢福松の序を付し、編集委員が執筆整理にあたって編んだ秩父地方の伝説と方言の集成である。秩父市と秩父郡に伝わる伝説を集め、武甲山麓のジジイ・ババア石、橋立鍾乳洞の悪龍、畠山重忠や坂上田村麻呂にまつわる話、伐ると祟る天狗松などを語り口調で記す。伝説は石・水・塚・屋敷跡・山と人物・地名・社寺および城跡・木に関する八つの部に分け、話によっては他地方の類話を注記する。