一夜で傷が塞がる赤津の大桂
どんな伝承か
赤津本村の国道筋から別れて南へ布引高原に向かい、八キロメートルほど登った標高九百メートルのところに、国指定天然記念物「赤津の大桂」の巨樹が枝葉を密集させてそびえている。日本北限の桂として尊ばれる。この谷は橇道の要で、大桂が邪魔だというので代官所の許しを得て杣人が伐りはじめた。初日に一部を伐って帰宅すると、その晩、異様な大きなうめき声が四方に聞こえた。翌朝登ってみると、昨日伐った株は元のとおりに幹へ付着して切り跡が一つもなく、まわりにはえもいわれぬ桂の香が立ちこめていた。杣人は月山様の神木だと気づき、後の祟りを恐れて青くなって下山したという。
原典より
赤津本村の国道筋から別れて、南へ布引高原へ向って八キロメートルほど登り、標高九百メートルんのところに、国指定天然記念物「赤津の大桂」の巨樹が、枝葉を密集させて、空にのびている。—— 郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
郡山の伝説(郡山市教育委員会(編)・大島建彦(監修)・ふるさとの文化財調査事業・1986年(昭和61年))
『郡山の伝説』は、郡山市教育委員会が大島建彦の監修を受けて昭和六十一年に編んだ伝説集である。昭和五十九年度の「ふるさとの文化財調査事業」で調査員が市内全域から採集した伝説を中心に、郷土誌などで補った話を収め、采女伝説や坂上田村麻呂・源義家・弘法大師にまつわる話が多い。『日本伝説名彙』にならって木・石岩・水・塚・坂峠山・祠堂・家村・祭礼行事の部に分け、各話に伝承地と報告者名を添え、巻頭に監修者の解説を置く。