娘の生首を流した鼬明神
どんな伝承か
亀岡の井上宮之助の家に祀る鼬明神には次の話が伝わる。六、七十年前、同家に一人娘があり、両親は望むものを何でも与えて可愛がっていたが、風邪がもとで急に死んだ。両親は手厚く葬り、毎日墓参りを続けた。ある日、土饅頭の上に猫ほどの大きさの鼬が上っており、人を見ると草むらへ逃げ去った。数日後、母が炊事をしていると川上から娘の櫛が流れてきて、見るとその櫛から娘の姿が見えた。またある日は川下から逆に娘の生首が流れてきた。父は夜中、足の方から重圧を感じて跳ね起き、四斗樽ほどの鼬の脛を見た。占師に問うと、娘を慕う心の弱みにつけ込んだ鼬の仕業だといい、堂宇を建てて祀ると怪異は止んだ。
原典より
亀岡の井上宮之助氏の家に祀っている鼬明神に次のような話が伝えられてあります。—— 高畠町伝説集(山形県立高畠高等学校文芸班(編)・1957年(昭和32年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高畠町伝説集(山形県立高畠高等学校文芸班(編)・1957年(昭和32年))
『高畠町伝説集』は、山形県立高畠高等学校文芸班が熊木成夫教諭の指導で編み、昭和三十二年に高畠町伝説集刊行会から発行した伝説集である。高畠町とその周辺に伝わる社寺の縁起、人物、怪異、動物、地名の由来などを、古老からの聞き書きと古記録から採り、内容の多くは郷土研究家安部名平次の蒐集による。神仏・人物・怪異・動物・什物・地物・地名・地誌の八篇に分け、町長の序と校長・安部名平次・武田好吉の文、編者の後記を付す。