六部と盗人が残した持仏堂
どんな伝承か
遠藤久左エ門の家には、俗家としては珍しい持仏堂が別棟の堂に安置されている。扉は金箔をちりばめ、地獄極楽の絵を浮き彫りにした精巧豪華なもので、この辺りでは見られない。堂の下の瓶に由来書があったが、いつのまにか盗まれたという。伝えは三つある。一つは、仏法に帰依した一人息子が日毎に礼拝する持仏堂を求め、大聖寺の僧正が京都嵯峨の御所へ上る折に依頼して仏具師に作らせたというもの。二つは、宿を借りた六部が腹痛で倒れ、手厚い看護を受けて全快し、礼にと国へ帰った翌年に届いたというもの。三つは、忍び込んだ盗賊が落とした大判小判を咎めずに返してやったところ、何年か後にどこからともなく届いたというものである。
原典より
【その一】和田の遠藤久左工門さんに俗家としては珍らしい持仏堂が安置されております。—— 高畠町伝説集(昭和三十二年(1957)刊/高島高校文芸班編) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高畠町伝説集(昭和三十二年(1957)刊/高島高校文芸班編)
山形県東置賜郡高畠町(屋代・亀岡・和田・二井宿・糠野目・高安・露藤ほか各地区。一部は隣接の米沢市・南陽市宮内・長井市)に伝わる伝説を、神仏/人物/怪異/動物/什物/地物/地名/地誌 の八篇に分類して集成する。屋代神社の鬼女縁起、犬の宮・猫の宮、安久津八幡、狐狸むじなの化かし、天狗・怪物・沼の怪、青葉の笛や応挙の幽霊画、伊達・上杉の城館跡や古戦場、地名由来など、高畠の地に根ざした怪異・霊験・由来譚を地区つきで網羅する。