屋根を平地のように歩く高安小僧
どんな伝承か
江戸末期、高畠町大字高安に「高安小僧」と呼ばれた盗賊がいた。どんなに急な勾配の屋根でも高低を問わず平地を歩くように渡り、土蔵に手をかけたと思うと猿のように上まで登った。妖術も使ったらしい。急峻な寺の屋根に登って横になって転がり落ち、軒で止まると身を起こして地面へ飛び下りて見せたともいう。高畠の鈴沼に木片を浮かべ、その上に乗って水をこいで向こう岸へ渡ったとも伝えられる。伊勢参宮では数日遅れて村人を追いかけ、小松で一同が迎え衣を受け取るなか、一人だけいつのまにか紋付羽織に大小を差していた。後に米沢の捕物名人市川新兵エに捕えられたが、入牢させても翌日には牢の外の板に座っていて逃げもしなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高畠町伝説集(山形県立高畠高等学校文芸班(編)・1957年(昭和32年))
『高畠町伝説集』は、山形県立高畠高等学校文芸班が熊木成夫教諭の指導で編み、昭和三十二年に高畠町伝説集刊行会から発行した伝説集である。高畠町とその周辺に伝わる社寺の縁起、人物、怪異、動物、地名の由来などを、古老からの聞き書きと古記録から採り、内容の多くは郷土研究家安部名平次の蒐集による。神仏・人物・怪異・動物・什物・地物・地名・地誌の八篇に分け、町長の序と校長・安部名平次・武田好吉の文、編者の後記を付す。