文珠山の天狗の角力取り場
どんな伝承か
今から五十年ほど前の秋半ば、亀岡の斉藤伝八が友人と連れ立って文珠山へ茸取りに登った。登る途中で仲間と離ればなれになり、一人でしばらく上っていくと、山の中腹に二間四方ほどの平らな場所へ出た。そこは掃き清められたように草一本、杉葉一枚落ちておらず、幾度となくこの山に登っている伝八も、これまで一度として見たことのない場所であった。老人から聞かされていた天狗の角力取り場はここだろうと思うと、何かしら恐ろしくなって逃げ帰った。のちに皆と一緒にもう一度訪ねてみたが、その場所は二度と見つけることができなかったという。
原典より
今から五十年程前、亀岡の斉藤伝八氏が、友人と一緒に文珠山に茸取りに登りました。—— 高畠町伝説集(山形県立高畠高等学校文芸班(編)・1957年(昭和32年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高畠町伝説集(山形県立高畠高等学校文芸班(編)・1957年(昭和32年))
『高畠町伝説集』は、山形県立高畠高等学校文芸班が熊木成夫教諭の指導で編み、昭和三十二年に高畠町伝説集刊行会から発行した伝説集である。高畠町とその周辺に伝わる社寺の縁起、人物、怪異、動物、地名の由来などを、古老からの聞き書きと古記録から採り、内容の多くは郷土研究家安部名平次の蒐集による。神仏・人物・怪異・動物・什物・地物・地名・地誌の八篇に分け、町長の序と校長・安部名平次・武田好吉の文、編者の後記を付す。