唐辛子で正体を現した娘の狐
どんな伝承か
露藤に、明応年間の創立と伝わる曹洞宗の寺があり、現在の建物は安永年間のものという。江戸末の文久年間のこと、酒好きの住職が檀家の法事に招かれ、法要の酒を馳走になったうえ、油揚げを煮た包みを土産に携えて帰ってきた。ちょうど夕方で、隣の若い娘が夕飯の炊事をしてくれていたので、住職は大変喜んで土産のいくらかを分け与えた。ところが、その娘の動作にどこか変なところがある。住職は戸棚から唐辛子を取り出し、知らぬふりをして焚火へ撒いた。すると娘は顔色を変えて鼻をびくびく動かし始め、見る間に一匹の狐と変じて、雨戸を蹴破り萱野を指して逃げて行ったという。
原典より
曹洞宗で明応年間創立ということですが、現在の建物は安永年間といわれる寺が露藤にあります。—— 高畠町伝説集(山形県立高畠高等学校文芸班(編)・1957年(昭和32年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高畠町伝説集(山形県立高畠高等学校文芸班(編)・1957年(昭和32年))
『高畠町伝説集』は、山形県立高畠高等学校文芸班が熊木成夫教諭の指導で編み、昭和三十二年に高畠町伝説集刊行会から発行した伝説集である。高畠町とその周辺に伝わる社寺の縁起、人物、怪異、動物、地名の由来などを、古老からの聞き書きと古記録から採り、内容の多くは郷土研究家安部名平次の蒐集による。神仏・人物・怪異・動物・什物・地物・地名・地誌の八篇に分け、町長の序と校長・安部名平次・武田好吉の文、編者の後記を付す。