義経の首洗い井戸
どんな伝承か
文治五年、奥州の衣川で自刃した源義経の首は、藤原泰衡の手で酒に浸されて鎌倉へ送られた。腰越で和田義盛と梶原景時が首を改めたが、頼朝は報告を聞いただけで首を打ち捨てさせた。伝説によると、その後、金色に光る亀が首を甲羅に載せて藤沢の白幡神社前の川へ上がってきた。騒ぐ村人の中に気品ある貴公子が現れ、自分は義経である、兄に追われて果て、首まで捨てられて浮かばれない、どうか葬ってほしいと告げて亀とともに消えた。村人はその首を近くの井戸で丁寧に洗い清めて神社の脇に手厚く葬り、義経も祭神に加えたという。その井戸が本町公園の片隅に残る首洗い井戸である。
原典より
坂・谷・島についての伝説 一一五古い屋敷址にまつわる伝説 一二七—— 神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
神奈川の伝説(谷川平夫(文)/読売新聞社横浜支局 編・1967年(昭和42年))
『神奈川の伝説』は、読売新聞社横浜支局が一九六七年に編んだ神奈川県内の伝説集である。読売新聞神奈川県民版に昭和四十年九月から四十二年八月まで八十回連載された「神奈川の伝説」のうち六十五回分を収め、文は谷川平夫記者が書き、伝説の地を訪ねて住職や古老に聞いた話と現在の様子を添える。樹木・石・塚・水・坂や島・屋敷址・社寺・禁忌・地名の部に話を分け、大藤時彦の序文と巻末の解説・索引を付ける。