落城の夜に奥方がたいまつを結んだ灯の松
どんな伝承か
苅屋原の七不思議の一つ目。北国街道の名残の榎並木から東を望むと、姫城跡の肩から少し下った所に大きな赤松が見え、灯の松と呼ばれている。天文二十二年、村上義清が武田信玄に敗れて葛尾城が落ちたとき、義清の奥方はわずかな腰元を連れてひそかに姫城を抜け出した。たいまつを頼りに苅屋原の方へ急な坂を下る途中、松の木にたいまつを結びつけ、その明かりでようやく千曲川のほとりへ降り着いた。振り返ると姫城もすでに炎に包まれていた。このときたいまつを結んだ松が灯の松だという。
原典より
途中で松の木にタイマツを結びつけ、その明かりでようやく千曲川の縁に降りた。—— 信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
信州七不思議(降幡利治・1984年(昭和59年))
『信州七不思議』は、降幡利治が昭和五十九年に著した信州各地の七不思議を集めた本である。諏訪大社上社と下社の御神渡りや筒粥に始まり、松原湖、生島足島神社、川中島古戦場、志賀高原、浄光寺、雲上寺、立石など県内各地に伝わる七不思議を、町村誌などの資料と聞き取りをもとに記す。各地の七つの事柄を箇条に掲げて関わる社寺や史跡の解説を添えるガイド風の構成で、序では越後の人が信州人の気質を評した七不思議を紹介する。