流人正三郎の生き残り
どんな伝承か
青ヶ島の噴火の中に、たった一人きわめて異様な生き残りがいた。安永三年の書き上げに外に流人一人とある、その流人である。幕府小普請組鈴木新三郎の惣領正三郎で、享保十九年の冬に弟の数馬とともに八丈島へ流され、三年後の佐野新蔵の騒乱に加担して、弟は小島へ、兄は青ヶ島へ移された。それから四十八年目のこの年まで生きていたことになる。流人帳には天明五年十月に死んだとあり、それが誤りでなければ、噴火のあと八丈へ逃げ戻って半年足らずで果てたのである。最も奇抜な不良少年の末路であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
柳田国男編『定本柳田国男集 第1巻』を全451話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。