眠るうちに流された三青年の命拾い
どんな伝承か
正徳五年、江戸からの御用船に十六、七歳の青ヶ島の若者三人が便乗していた。二人は兄弟、もう一人はその従弟である。七月九日の晩、浜につないだ漁舟に乗って釣りをするうち、三人とも眠り込んでしまった。その間に引き潮が綱を断ち、目覚めたときには舟は大海の只中にあった。帆を上げて風にまかせ、十二日ものあいだ飲まず食わずで漂う。十三日目の朝、御蔵島に着いたところを泳ぎ寄った島人に助けられ、十日世話になった後、三宅島を経て八丈へ渡り、九月二十五日に無事帰島した。運のよい命拾いだと噂されたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第1巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第1巻』は、柳田国男の著作を集めた著作集の一巻である。椰子の実の漂着から日本人の渡来と稲作を海の道に求める論考と、海神宮考・みろくの船・根の國の話・寶貝のこと・稻の産屋などの諸篇、大正期の南島旅行に基づく『海南小記』、昭和二十六年八月の自序をもつ『島の人生』を収める。いずれも海と島を舞台に、ニライカナイや宝貝、漂着や島の復興をめぐる民俗と歴史を論じている。